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マンション・アパートの大規模修繕はどうして12年周期なのか?
2021年06月04日
こんにちは。
大切な資産を守り、未来につなげる、建物修繕・メンテナンスのウィズライフがお届けします。
「マンション・アパートを建てたときは、大規模修繕なんてまだまだ先のことだと思っていた…」
「結構頻繁に修繕している気がするけど、こんなに必要なの?」
という疑問の声を耳にすることがあります。
大規模修繕は、一般的に12年周期で行われると言われています。
では、なぜ12年周期なのか?
その理由やマンション・アパートの大規模修繕について詳しく紹介していきたいと思います。
どうして大規模修繕をおこなうのか
この世のほとんどのものが時間とともに劣化していきます。
それはマンション・アパートも同様で、形あるものはいつか崩れていくものです。
コンクリートの寿命は、50~100年程度といわれています。
ですが、50年が経過するまでにもひび割れなどの様々な劣化症状が発生することがあります。
他にもコンクリート以外の部分が劣化する可能性もあるため、定期的な修繕が必要不可欠なのです。
修繕を怠り放置しているとマンション・アパートの資産価値は次第に落ちていきます。
資産の価値を下げないためにも、修繕は避けては通れない道です。
定期的に修繕をするだけなら簡単な話だと思う人も多いかもしれませんが、そんなことはありません。
なぜなら、修繕には数百万から高額になると数千万円という費用が必要になるからです。
よって、マンション・アパートでは計画的な修繕積立費を設定しなければならないのです。
この修繕積立費を設定するには、どのタイミングでどのような修繕をするのかを選定し、どれくらいのお金がかかるのかを計算した長期修繕計画が必須です。
分譲マンションの場合は、組合員に修繕積立費を支払ってもらうのですが、もちろん月々の出費は可能なかぎり抑えたいはずです。
そのため、支払うべき必要な費用だとしても、何のための費用なのかを明確にしておくことが大切です。
誰もが納得できる修繕積立費の妥当性をわかりやすく視覚化したものが、長期修繕計画だと考えてください。
この長期修繕計画がしっかりと管理されている場合は何も問題はないのですが、最近では形式だけで中身の見直しがされず、修繕の際に積立金が足りないというケースが増えています。
分譲マンションの場合は、不足している費用を組合員から追加で集めたり、銀行からお金を借りなければいけないような事態も発生しています。
銀行から借りたお金を返済しなければいけないために、以降の家賃や修繕積立費を値上げしなければいけなくなったケースもあります。
このような入居者・組合員の不満が高まってしまうような事態は避けなければいけないので、長期修繕計画は定期的に見直しをしなくてはいけません。
一般的に大規模修繕は12年周期でおこなう
これまでは大規模修繕は10年周期でおこなうことが一般的でした。
しかし、最近では12年周期でおこなわれることが一般的になってきています。
それは、外壁の寿命が大体10年前後ということが大きく関係しています。
外壁は寿命を迎えると少しの衝撃で剥がれ落ちるおそれがあり、それにより通行人にケガを負わせてしまう危険性がでてきます。
その他に屋上の防水やシーリングなど、10~12年くらいで劣化が発生してくる箇所がいくつかあるため、それらを踏まえて国土交通省が12年周期での修繕を推奨したので、マンション・アパートの大規模修繕を12年周期でおこなうことが一般化してきました。
ですが、マンション・アパートのすべての設備を12年周期で修繕しているわけではありません。
例えば、エレベーターは30年のタイミングで交換といわれているので、24年の2回目もしくは36年の3回目の大規模修繕で交換をします。
このように12年後には耐えられなくなっているだろう箇所だけを修繕することが一般的です。
そのため、回を増すごとに大規模修繕の費用が高くなっていく傾向にあるのですが、基本的に3回目でマンション・アパートの設備のほとんどを修繕してしまうので、4回目には修繕費用が下がることが多いとされています。
修繕例を簡単に表にまとめてみました。
12年目(1回目) | 外壁塗装・金属部塗装・防水工事 |
24年目(2回目) | 1回目の内容+エレベーターの交換・駐車場設備の交換・金物の交換 |
36年目(3回目) | 1回目の内容+サッシと玄関扉の交換・手すりの交換・配管設備の交換 |
上記はあくまで例なので、エレベーターや駐車場設備の交換は高額なため、2回目と3回目の間におこなう場合もあります。
大規模修繕を12年周期でおこなう場合の注意点
注意すべきは3回目の修繕です。
なぜなら、一般的に長期修繕計画は30年という期間で作成することを推奨されているので、3回目の修繕が計画の中に含まれていないことがあります。
そして、この3回目の修繕が一番高額になってしまうと、積立が足りないというケースが発生してしまうおそれがあります。
なぜ、長期修繕計画が30年までしかないのかというと、修繕周期が10年周期だったころの名残りです。
そのため、12年周期での大規模修繕が一般化になっている現在では長期修繕計画を36年まで立てることを忘れないようにしましょう。
大規模修繕の周期の考え方とは
少しだけ先述した大規模修繕が12年周期でおこなう理由について、ここからもう少し詳しく説明していきたいと思います。
タイル張り壁の場合、10年ごとの外壁打診調査の義務がある
平成20年の法改正により、共同住宅などの「特殊建築物」に該当し、乾式工法によるもの以外で施工されたタイル張り壁(モルタル張り・接着剤張り・PC先付け工法等)の外壁には施工もしくは修繕から10年経過後の外壁全面打診調査が義務付けられました。
ただし、3年以内に修繕もしくは調査をおこなうのであれば、10年ちょうどの調査は不要とされています。
なぜなら、外壁全面打診調査をおこなうには足場を組まなければいけません。
足場を組むにも費用がかかるため、10年目で外壁全面打診調査をおこない、12年目に大規模修繕をおこなうとなると、またしても足場を設置するために余計な費用がかかってしまうというわけです。
それならば10年目の調査をせずに、12年目で大規模修繕と一緒におこなったほうが合理的で費用も抑えられるからということで、12年周期が一般的になったのです。
大規模修繕に大事なのは最適なタイミング
大規模修繕で大事なのは、12年という周期にとらわれずに最適なタイミングでおこなうということです。
もしも10年で外壁に大きな亀裂が入ったら、12年を待たずに修繕をしなければなりません。
12年が経過したとしても、劣化があまり見られない場合は先送りにすることもできます。
しかし、外壁全面打診調査は国で定められているため、それを考慮しなければなりません。そのうえで先送りにするのならば日々のメンテナンスを重視していかなくてはいけません。
分譲マンションの場合は、もちろん組合員の同意も得ないといけないので、現状から計画を変更するということはとても大変です。
そのため、その労力を考えると先送りにしようという人がほとんどいないのが実情です。
まとめ
ここまでマンション・アパートの大規模修繕の周期について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
少しでも12年周期が一般的になった理由を理解していただければ幸いです。
さまざまな要因があって12年という周期になっているわけですが、必ず守らなければいけないわけではありません。
あくまでも目安なので、マンション・アパートの資産価値を下げずに安心・安全で快適な日々を送ってもらうためにも、それぞれの状態に適した余裕のあるタイミングで大規模修繕をしっかりとおこなうようにしましょう。
このコラムがお役に立てば幸いです。
以上、建物修繕・メンテナンスのウィズライフ株式会社でした。
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