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絶対に防ぎたい家賃滞納!立ち退きさせる流れと未然の防止対策とは?

2021年07月23日

こんにちは。
大切な資産を守り、未来につなげる、建物修繕・メンテナンスのウィズライフがお届けします。

賃貸経営をしていると、遭遇したくはないけれど、してしまうおそれがあるのが家賃滞納です。
しかも、家賃滞納が発生したからといって、すぐに立ち退きさせることができるわけではないのです。
賃貸オーナーにとっては、困った話ですよね。

日本には、借地借家法といった極めて特異な法律があるため、賃貸オーナーはこの法律の主旨をよく理解したうえで行動をしなければなりません。

そして、賃貸オーナーも自らの権利を守るために、事前に家賃滞納を防ぐ対策をしておくべきです。

そこで今回は、「家賃滞納と立ち退き」について解説していきたいと思います。
この記事を読むことで、家賃滞納から立ち退きに至るまでの流れを把握することができるだけでなく、家賃滞納を未然に防ぐための4つの対策についても知ることができます。

必ず参考になると思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

【目次】
●家賃滞納と契約解除事由
●家賃滞納から契約解除での立ち退きまでの流れ
●家賃滞納を未然に防ぐための対策4つ
●まとめ

家賃滞納と契約解除事由

家賃滞納は、借主の債務不履行です。
一般的な契約ならば、相手方が契約を守らなければ契約は解除されるのが通常です。

しかし、家賃は1度滞納をしたくらいでは、賃貸借契約の契約解除事由にはならないのです。
なぜなら、一般的に契約解除事由に該当するのは、家賃滞納が3ヶ月以上続くことが必要と解釈されているからです。

ここで「解釈」という表現に「ん?」と引っかかった人がいると思います。
「解釈」という表現を使用した理由として、借地借家法には特段、「3ヶ月の家賃滞納が続けば契約解除できる」と明記されていないからです。

そのため、3ヶ月というのはあくまで目安ということになります。
裁判になったとしても、おそらく契約解除事由に該当するであろうと推測されるにすぎないのです。

では、なぜ3ヶ月なのか?
過去の判例でも、家賃滞納が3ヶ月続いていれば契約解除事由が備わっていると判断されることが多いため、実務的にも3ヶ月以上の滞納があれば、契約解除できると解釈されているからです。
さらに、家賃滞納による契約解除では、「信頼関係破壊の理論」という言葉がでてきます。
この「信頼関係破壊の理論」では、2ヵ月程度の家賃滞納で貸主と借主との間の信頼関係は破壊されていない、とされているからです。

3ヶ月以上の滞納で、貸主と借主の信頼関係が破壊されたとみなされ、貸主からの契約の解除権が3ヶ月目になってようやく行使できるようになります。

ここでひとつ覚えておいてほしいことがあります。
家賃滞納による契約解除は、いわゆる「立ち退き」と異なります。

立ち退きとは、貸主の都合によって立ち退いてもらうものなので、貸主から立ち退きをおこなうには立ち退き料が必要になります。

家賃滞納の場合は、借主の債務不履行が原因のため、家賃滞納による契約解除に立ち退き料は発生しません。

家賃滞納から契約解除での立ち退きまでの流れ

まずは家賃滞納から立ち退きまでの一般的な流れを簡単に紹介します。

【家賃滞納が発生】

➀管理会社に督促を依頼

②連帯保証人に連絡

③内容証明郵便による督促手続き

④裁判以外の解決法←任意の明け渡し

⑤法的手続き←支払督促手続き・少額訴訟

【民事訴訟(契約解除・明け渡し) 】

という流れになっています。
それぞれのステップについて詳しく説明していきますので、いっしょに見ていきましょう。

管理会社に督促を依頼する

家賃滞納が発生した場合、第一にすることは管理会社に督促をしっかりと依頼することです。
実際は、家賃は管理会社を経由して賃貸オーナーに支払われることが多く、家賃滞納が発生したら管理会社からオーナーに家賃滞納発生の連絡が入ります。

家賃の督促は、基本的に管理会社の仕事なので、何もしなくても督促してくれることがほとんどです。

管理会社にしっかりと迅速に対応してほしい場合は、賃貸オーナーから「督促してください」と一言伝えることが効果的です。

管理会社の督促方法は、電話や訪問、書面による督促をおこないます。
「滞納理由、支払い可能な時期」などの情報を聞き出してもらい、賃貸オーナーも確認することをおすすめします。

保証人への連絡

家賃滞納が発生した場合、連帯保証人がいるのならすぐに連絡をします。
早い段階で連帯保証人に連絡をしておくことで、スピード解決する可能性が高くなるため、とても重要です。

家賃滞納による立ち退きは、最終的には法的手段に頼ることも可能です。
しかし、法的手段による明け渡しは強制執行に至るまでに2年近くかかってしまうため、可能であるならば、まずは法的手段以外の方法と解決を目指してみましょう。

連帯保証人は、賃貸借契約における借主の債務をすべて負っていますので、連帯保証人は家賃を支払う義務があります。

連帯保証人に連絡をするメリットは、連帯保証人から借主に対して厳しく注意してもらえることです。
借主が支払わない場合、連帯保証人が支払う義務があるため、ほとんどの連帯保証人は借主に一喝しますので、2ヵ月目以降の家賃滞納が発生しなくなる可能性もあります。

連帯保証人ではなく、家賃保証会社に連絡する場合もあります。
家賃保証会社は、借主が家賃を滞納したときに代わりに払ってくれる会社のことです。

家賃保証会社は、滞納発生から40日以内を報告期限として定めている場合が多く、報告期限を過ぎると賃料が満額保証されない場合があるため、滞納が発覚したらすぐさま家賃保証会社へ報告するようにしてください。

家賃保証会社が家賃を保証すると、借主への督促は家賃保証会社がおこないます。

内容証明郵便による督促手続き

家賃滞納が2ヶ月目に入ると、内容証明郵便によって督促をおこなうことが必要です。
内容証明郵便とは、いつ、どのような文書が、誰から誰宛てに送付されたのかを、差出人が作った謄本によって郵便局が証明する郵便のことです。

内容証明郵便で督促する理由が、もしも訴訟に発展した場合に、実際に督促をしたという証明を残すためです。

2ヵ月目突入の段階では、訴訟に発展した場合を想定して、きちんと督促をしたという履歴を残しておくことが重要になります。

2ヶ月目以降は、訴訟を意識して対応しておくことがポイントなので覚えておきましょう。

裁判以外での解決法

家賃滞納で立ち退きを求める場合、裁判以外の方法で早期解決を目指すようにしましょう。

なぜなら、明け渡し訴訟のような裁判に発展すると、2年近くの時間がかかり、その間の家賃収入は得られないからです。
それならば、任意の明け渡しで少しでも早く退去させて新しい入居者を入れた方が断然いいのです。

任意の明け渡しの場合、これまで滞納している家賃の回収は諦めて、「〇月〇日までに退去すれば、不払い分の家賃の支払いを免除する」と通知し、退去させてしまうことが効果的なのでおすすめです。

不払い分を諦めるのは非常に残念かもしれませんが、免除の条件を提示すると簡単に退去していく人が結構多くいると聞きます。

そのため、安易に裁判に持ち込むことは得ではありませんので、まずは管理会社と相談して任意の明け渡しを試してみることをおすすめします。

法的手続き

家賃滞納が発生した際に利用できる法的手続きは、「支払督促手続き」「少額訴訟」「民事訴訟」の3つです。

それぞれの内容を具体的に見ていきましょう。

【支払督促手続き】
支払督促手続きとは、裁判所から入居者に対して督促状を出す手続きのことです。
支払督促は、家賃のような金銭の支払いの他に有価証券もしくは代替物の引き渡しを求める場合に限り利用することができます。

裁判所からの督促に、何も知らない借主に督促状が届くと、驚きのあまりすんなり支払うこともあります。
強制力はないのですが、手続きも簡単で、借主への心理的な効果も大きいので手始めに支払督促手続きをすることはとてもおすすめです。

【少額訴訟】
少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払を求める場合に限り利用できる制度のことです。

訴訟といっても、1回の期日で審理を終えて判決まで出るといった特殊な訴訟手続きです。

裁判官とともにテーブルに着席して話し合うようなイメージをしてもらえればいいと思います。
訴訟の中で、妥協点が見出されたら和解も十分ありえます。

判決による判決書、和解による和解調書によって強制執行を申し立てることが可能なので、少額訴訟には強制力があります。

【民事訴訟】
立ち退きまで求めるときは、民事訴訟となります。
少額訴訟はあくまでも「家賃の支払い」というお金の請求までしかできませんが、民事訴訟なら「立ち退き」まで要求することができます。

家賃滞納が3ヶ月以上続く借主に対し、契約解除を要求しても立ち退かない場合は、民事訴訟となります。

先述したとおり、明け渡し訴訟での強制執行は場合によって立ち退きを完了させるまでに、2年程度かかります。

弁護士費用も110万円程度と高額です。
そのうえ、期間中は家賃収入も得ることができません。

家賃滞納から明け渡し訴訟まで発展してしまうと、貸主には相当な負担がかかってしまいます。
そのため、難しいですが家賃滞納をしそうな人と契約しないことが重要になります。

家賃滞納を未然に防ぐための対策4つ

ここからは、家賃滞納を未然に防ぐための対策を紹介していきます。

①管理会社を見直す

家賃滞納を防ぐためには、管理会社の見直しが長期的な観点で最も効果がある対策といえます。

なぜなら、家賃滞納を発生させるような人を入居させてしまった原因は、管理会社の審査の甘さにあります。

入居者がどんな人物なのかをしっかりと判断できる管理会社ならば防げた問題です。
管理会社の入居審査は、銀行の住宅ローン審査ほど厳しいものではありません。

提出書類などもほとんど自己申告の内容によって審査をしているのが現状です。
連帯保証人の収入証明まで提出させるなんてことは、ほとんどありません。

では、なぜ管理会社の入居審査がそこまで厳しくないのか?
その理由は、賃貸市場は総じて借り手市場であるからです。
あまりにも厳しい入居審査をおこなってしまうと、入居者に避けられてしまうのです。

その代わりに管理会社は、しっかりと入居者の人となりを見極めなければいけないのです。
入居に至るまでのやり取りなどから直感的に人を見なければいけないため、入居審査は経験値によって技量の差が出てしまいます。

そのため、対応のよい管理会社に切り替えると、家賃滞納だけでなくその他のさまざまな入居者トラブルも防ぐことができるようになるかもしれません。

②家賃保証会社をつける

家賃滞納を未然に防ぐには、入居者に家賃保証会社の保証を義務付けることが直接的で効果的な対策となります。

家賃保証会社が保証するのは、家賃だけで連帯保証人のような総合的な保証がされるわけではありません。

保証の内容は、連帯保証人よりも狭い範囲になりますが、家賃滞納に関してはかなり効果的です。

連帯保証人の場合でも、家賃の請求は可能ですが、保証人の経済力がない場合もあります。
また、賃貸借契約が長期の場合、いつの間にか連帯保証人に連絡がつかなくなっていることも考えられます。

このようなことがないように、家賃保証会社だけをつけて入居を認める場合が増えていると聞きます。

しかし、家賃保証会社をつけるにもデメリットがあり、家賃保証会社が倒産してしまうと保証がされなくなります。

よって、家賃保証会社をつける場合は、管理会社に相談して経営がしっかりしている家賃保証会社を選んでもらうことをおすすめします。

ちなみに良い管理会社は、適切な家賃保証会社を知っている可能性が高いので、管理会社選びがとても大切ということがわかります。

③連帯保証人をつける

家賃滞納を防ぐには、連帯保証人をつけることもやはり重要な対策のひとつです。
先述しましたが、家賃滞納が発生したら、すぐさま連帯保証人に連絡をすることでスピード解決につながります。

法的手段に頼り、明け渡し訴訟まで発展してしまうと、2年程度の時間がかかってしまいます。
しかも、その間は家賃収入がない状態で訴訟費用もかかるので、連帯保証人を通じて問題解決する方がはるかに現実的なのです。

連帯保証人は、家賃滞納だけでなく大体の入居者トラブルに対応してくれます。
もしも、借主が夜逃げしてしまった場合に残された荷物も連帯保証人なら引き取ってもらうことができます。
家賃保証会社は、家賃についてしか対応できないためこのような対応はできません。

また、ほとんどの場合、連帯保証人は借主の親や親戚がなります。
そうなると、借主は「連帯保証人に迷惑をかけてはいけない」という気持ちが生まれ精神的に抑止することが見込めます。

ただし、2020年の4月1日から施工の改正民放によって、賃貸借契約の個人には連帯保証人がつけにくくなってしまったのです。

その理由は、極度額の設定が必要となったことです。
極度額とは、連帯保証人が負う責任の限度額のことをいいます。

従来、連帯保証人は債務者の責任を無限に保証するとされていたのですが、それではあまりに負担が重すぎると指摘が多くあり、この度の民法改正で極度額が明記されることになりました。

極度額が明記されることで、本来なら連帯保証人の責任の範囲を限定できるという効果があるのですが、反対に極度額が明記されてしまうと、「そんな額は保証できない」と拒否反応を示す連帯保証人も増える可能性があるのです。

これにより、連帯保証人がつけられるケースが減っていくのではないかと想定されています。
今後は、極度額をいくらに設定すべきなのかという問題点が発生してくるでしょう。

一説として、明け渡し訴訟が2年程度かかることを基準にして、極度額を「家賃2年分+アルファ」と設定すべきという意見もでています。

そうすると、家賃が10万円の物件ならば約240万円の支払いを連帯保証しなくてはならないことに驚いてしまい、拒否する人が続出すると思われます。

④敷金を十分に取る

家賃滞納を防ぐには、敷金を十分に取ることも対策のひとつになります。

敷金とは、借主に家賃滞納などの債務が発生した場合に担保とするためのお金です。
そのため、敷金はズバリ家賃滞納の対策そのものです。

契約解除事由は、3ヶ月以上の家賃滞納が必要であるのならば、敷金も家賃3ヶ月分を取っておかないと損をしてしまうことになります。

しかし、賃貸市場は借り手市場なので、敷金をあまりにも高額に設定していると入居者が決まらない原因となってしまいます。

敷金も礼金もかからない賃貸物件も今や珍しくないため、敷金を取ることがとても困難になっています。

しかし、万が一のトラブル時のために高額でなくてもいいので、やはり取っておくべきお金だと思います。

それでも、敷金を取ることが厳しい場合は、先述した連帯保証人や家賃保証会社でしっかりと対策をしておくことが大切になってきます。

まとめ

これまで家賃滞納による立ち退きについて説明してきました。

家賃滞納が発生したとしても、3ヶ月以上の滞納でないと契約解除をすることができません。

そのため、家賃滞納が発生したら早めに動いて管理会社などに対応してもらうことが大事です。
そして、このような事態を未然に防ぐためにも、「管理会社の見直し」「家賃保証会社をつける」「連帯保証人をつける」「敷金を十分に取る」といった上記で紹介した4つの対策をしっかりと取るようにしましょう。

このコラムがお役に立てば幸いです。
以上、建物修繕・メンテナンスのウィズライフ株式会社でした。

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