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甘く見ていると痛い目を見るかもしれない!貯水槽問題とその対応とは?

2022年02月04日

こんにちは。
大切な資産を守り、未来につなげる、建物修繕・メンテナンスのウィズライフがお届けします。

マンションやアパートなどの中古の収益物件の購入を検討しているときに、屋上に設置されている貯水槽を意識している方は多くないと思います。

しかし、あまり意識されてない貯水槽だからこそ、しっかりと状態などを確認すべきなのです。

貯水槽の管理状態が悪いと、入居者からのクレームや思わぬ出費を発生させる原因になります。

ということでこの記事では、貯水槽の役割を改めて確認しつつ、マンションやアパートのオーナー様が知っておくべきメンテナンス時期の目安などを紹介していきたいと思います。

必ず参考になるので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

【目次】
●貯水槽の役割とは?
●内部を清掃してメンテナンスをしよう
●貯水槽そのものも劣化する
●主な劣化症状を交換や修繕の目安に
 ┗1. 架台のサビ
 ┗2. FRPのチョーキング
 ┗3. 天井板の劣化にも注意
●まとめ

貯水槽の役割とは?

はじめに、貯水槽が何のためにあるのか、その役割について説明していきます。

私たちが普段利用している水道水は、地中に埋められている水道管を通り各住居に届けられています。

水道管の内部は常に一定の水圧がかかっており、その水圧によって蛇口から水が押し出されるという仕組みになっています。

この給水方式は「直結給水方式」と呼ばれ、一般的に戸建住宅や低層の集合住宅で用いられている方法です。

反対に一定規模以上(東京都では4階建て以上)の集合住宅になると、高い場所にも水を送らなければならなく、また水を送る先が増えるため、水圧が足りずに各住居に水を供給できなくなります。

そのため、マンションやビルなどでは、一度地上の「受水槽」に水を溜めて、そこからポンプで屋上に設置されている貯水槽に水を送り、そこから各戸に給水する「貯水槽水道方式」が用いられています。

アパートやマンションの屋上にある貯水槽の役割は、高層集合住宅などの各戸に給水をするために設置されているということです。

内部を清掃してメンテナンスをしよう

水道事業を所轄する厚生労働省によると、貯水槽に届くまでの水質管理は各自治体の各自治体の水道局の管轄ということです。
しかし、貯水槽以降の水質の管理責任は、オーナーやオーナーから委託されている管理会社にあります。

さらに、10トン以上の貯水槽が設置されている施設となると、水道法により1ヵ月ごとの点検と年1回以上の清掃と水質検査が義務づけられています。

10トン以上となると、大規模な分譲マンションやオフィスビルとなりますが、貯水槽の状態は入居者が利用する生活用水の質に直結するため、10トン未満であってもメンテナンスに同様の意識を向けることをおすすめします。

貯水槽内部の清掃にかかる費用は5万円~10万円であり、時間にして約2時間~4時間。
清掃中は断水になるので、あらかじめ告知しておくなど注意が必要です。

>貯水槽そのものも劣化する

貯水槽内部の清掃について先述しましたが、貯水槽本体の劣化にも注意が必要です。

貯水槽や受水槽は、一般的にFRPという素材で作られています。
FRPは、防水性能が高く住宅などの防水材料としても使用されている素材です。

軽量かつ頑丈であり、型枠によりさまざまな形状に加工しやすいので、貯水槽の素材に向いています。

しかし、FRPも万能ではありません。
紫外線や酸性雨などの外的要因により、亀裂や破損が発生することもあります。
そんな劣化箇所から雨水や害虫が入り込んでしまう可能性があります。

これらが原因により衛生的な問題が発生すれば入居者の健康被害につながるおそれがでてきます。

これらの理由により、FRP製の貯水槽メーカーのほとんどが耐用年数を15年と設定しています。

主な劣化症状を交換や修繕の目安に

ここからは、貯水槽の交換や修繕の目安となる主な劣化症状を紹介していきます。

1. 架台のサビ

外部から簡単にチェックできるポイントにタンクを支える「架台」のサビがあります。

サビが拡大することで架台が腐食して、耐久性が低下します。
耐久性が下がっているところに地震が発生して架台が壊れてタンクも壊れてしまう可能性が十分にあります。

架台のサビは雨水で発生することは少なく、サビが発生した時点で水道水の塩素によっての可能性が高いため、タンクの亀裂を疑うようにしましょう。

タンクに亀裂が発生している場合、交換した方がよいです。

2. FRPのチョーキング

FRP製の貯水槽の表面に触れたときに、チョークのような白い粉が指に付着したら注意が必要です。

チョーキング現象という劣化症状で、これは紫外線によってFRPに含まれている樹脂が分解されているという証拠です。

チョーキングを放置してしまうと樹脂分がなくなり、ガラス繊維が露出してしまいます。
そうなると、タンクの内部まで日光が通ってしまい、内部からも劣化が促進してしまうため、早めの補修や交換をおすすめします。

3. 天井板の劣化にも注意

確認することが難しいのですが、貯水槽の天井部にも目を配りましょう。
天井部は、長いあいだ直射日光に晒されるので、側面と比べると劣化が促進しやすいです。

このようにさまざまな劣化症状が貯水槽に発生します。
補修や交換によって対応すべきなのですが、交換をするとなるとそれなりに費用がかかります。

また交換工事をしている間は、1週間以上の断水になってしまう可能性もあります。
補修は、交換よりも費用を抑えることができ、断水時間も交換と比べると短いため、状態に適した対応を選択するようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
貯水槽問題は、なかなかやっかいな問題です。

築古物件を購入する際、設備の老朽化問題をどう解決するのかがポイントになります。
入居者はメンテナンスなど、手がだすことができないので、オーナーの腕の見せどころであり、モラルが問われるところでもあります。

築古物件を購入する際は、事前に十分な調査をして、オーナーと入居者ともにベストな選択となるようにしましょうね。

このコラムがお役に立てば幸いです。
以上、建物修繕・メンテナンスのウィズライフ株式会社でした。

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