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もしも賃貸物件に害虫が発生した場合の責任の所在や対処費用はどうなるのか?
2022年02月11日
こんにちは。
大切な資産を守り、未来につなげる、建物修繕・メンテナンスのウィズライフがお届けします。
賃貸物件を経営していると、入居者からのクレームがさまざまな方向から飛んでくると思います。
そんなクレームの中には、「害虫」に関することも多くあると聞きます。
この害虫問題は、根本的な解決が難しいため、大家さんには頭の痛い問題ですよね。
賃貸物件の中には、契約時に「消毒料」と銘打って、入居者に費用負担をさせている物件もあります。
これらは、害虫対策を大家さんへ責任転嫁している理由であるといえます。
では、害虫駆除などの対策は大家さんの責任なのでしょうか?
反対に、入居者が負担するものなのでしょうか?
この記事では、そんな賃貸物件における害虫駆除についてさまざまな観点から紹介していきたいと思います。
【目次】
●害虫が発生しやすい物件がある?
●害虫駆除の方法とは
┗○ゴキブリ・アリ・ムカデの場合
┗○ハチ・シロアリの駆除
┗○カラスの駆除
●入居者の室内に害虫が発生した場合、害虫駆除の費用負担は誰に?
┗○大家さんが負担するケースとは
┗○契約書内に特約を設けて対策
●害虫の侵入を予防するために大家さんがすべきこと
┗○入居者の入居前に侵入経路を潰す
┗○退去のタイミングでクリーニングをする
┗○退去のタイミングで専門業者に依頼する
●まとめ
害虫が発生しやすい物件がある?
四季があり気候の移り変わりが激しい日本では、年間に多くの虫が人の生活環境のすぐ近くにあらわれます。
そんな虫の中でも「害虫」に分類されるものは、目についただけで不快なもので最悪の場合、健康面でも悪影響を与えることがあります。
そのため、入居者から害虫に関しての苦情を訴えられる大家さんも少なくないのです。
現代の住宅は、気密性が高いので虫が外から侵入する経路や機会がきわめて少ないと思われています。
しかし、虫はありとあらゆるところやタイミングで室内に入り込んできます。
虫の侵入機会を例としてあげれば…
・窓の開閉時
・玄関ドアの開閉時
・外出時に衣服に付着しており、そのまま室内に
・換気口の隙間など
・小屋裏へ侵入した虫が電気の配線を伝い照明器具へ
・給排水管など壁や床などの貫通部の隙間から
このように、虫の侵入する経路や機会は多くあります。
とくに建物の周辺が草むらや林など、虫が生息しやすい環境がある場合は、虫の発生を防ぐことはなかなか困難です。
体の小さな虫の侵入を防ぐのは、住宅の構造の種類に関係なくとても難しいことなのです。
害虫駆除の方法とは
害虫が発生した場合の駆除方法は、専門業者に依頼するか、もしくは専用の薬剤などをホームセンターで購入するかの2つに分けられます。
薬剤をホームセンターで購入する方法の場合、大家さんや管理会社が駆除することも可能です。
ここからは、代表的な害虫の駆除方法について紹介していきます。
ゴキブリ・アリ・ムカデの場合
ゴキブリやアリ、ムカデは、見た目にも不快な虫であり、危険性を備えています。
これらの駆除方法としては、殺虫剤を使用して駆除することをおすすめします。
巣の場所や侵入経路がわからないのなら、専門家に依頼すると速やか且つ完全に解決してくれることでしょう。
駆除後の再発生防止には、入居者に生ゴミの処理や保管方法などの注意を改めておこない気をつけてもらいましょう。
待ち伏せタイプの殺虫剤を置いてもらったりすると効果があるでしょう。
ハチ・シロアリの駆除
スズメバチやシロアリが発生した場合、命に関わるほどの危険性があります。
建物の土台や柱などや基礎を侵食し、耐震性能の低下を引き起こす可能性があります。
駆除をする際も素人には危険なので、専門業者に依頼するようにしましょう。
カラスの駆除
ゴミステーションが備わっている物件などで問題になるのが、カラスです。
カラスはゴミの中の生ゴミや残飯を狙って集まってきます。
カラスの被害は、アジアの南部に位置する国で多く見られ、日本よりも高緯度な欧米諸国では見られません。
また、駆除による個体数の減少成功例がないため、カラスの駆除は非常に難しいです。
対策としては、カラスの活動が活発な時間をさけて、夜間・早朝のゴミ収集をしてカラスを集めないという方法が効果的になります。
ゴミの戸別収集や散乱防止など、ゴミとカラスを分断させるようにしましょう。
入居者の室内に害虫が発生した場合、害虫駆除の費用負担は誰に?
まず、入居者の部屋に害虫が発生した場合、駆除もしくは侵入を防ぐのは、一義的に入居者がおこなうことになります。
害虫の発生原因が入居者の生活に問題ある場合は、善管注意義務を問われることもあります。
この善管注意義務とは、賃貸物件の所有者である大家さんと同様に「管理者としての注意義務」が入居者にもあり、一定の責任を果たさなければならないというものです。
ただし、隣室がゴミ屋敷のようで害虫発生の原因になっている、建物の欠陥により害虫が侵入しやすくなっているなど、入居者の責任にできない場合もあります。
ここからは、大家さんが駆除費用を負担するケースについて紹介していきます。
大家さんが負担するケースとは
大屋さんは民法上「賃借人に使用および収益させる義務」があり、虫の発生や侵入により入居者が本来の住宅として使用できない状態ならば、その状態を改善させる責任があります。
ただし、相手は虫という自然発生的なものであり、人為的に起こった事象ではありません。
専門業者に依頼するなど、できる限りに対応をしたとしても完全に駆除できないことも十分に考えられます。
そのため、常識的に考えられる範囲の対応を大家さんがおこなった場合、それ以上の対応をしなければならない責任があるという解釈は法律上ありません。
したがって、大家さんが害虫駆除の費用を負担するケースは限定的であり、以下のケースが考えられます。
1. 入居から間もなくのことであり、以前から原因があったと想定できる
2. 配管設備などに問題があり、虫が侵入しやすい環境だった
3. 隣室がゴミ屋敷状態であり、虫が発生した部屋の入居者に責任がなかった
4. 建物や設備関係に何らかの異常があり、虫が発生した
負担の区分するのは難しいことで、簡単に話がつかないことが多いです。
時間をかけてもこじれる可能性もあるので、早めに専門家に相談しましょう。
契約書内に特約を設けて対策
害虫の発生などの自然現象に起因する賃貸住宅の不具合については、賃貸借契約書において責任負担を明確にしておくことで対策できます。
・大家さんの免責に該当する条件を設定する
・入居者の善管注意義務について明記する
特約を設けることで、すべての責任が大家さんにならないようにして、入居者とともに協力して害虫の発生を対処していくという姿勢を示すのもおすすめです。
害虫の侵入を予防するために大家さんがすべきこと
ここからは害虫の侵入を防ぐために、大家さんが事前にできる対策を紹介していきます。
入居者の入居前に侵入経路を潰す
空室での虫の発生が確認されている場合、入居前に侵入経路を探しましょう。
侵入口を潰すことで、虫の侵入を防ぐことができます。
侵入経路が確定できたら、隙間を埋める、防虫ネットを設置するなど対策をして、より良い状態にしましょう。
また、室内に巣がある可能性が高い場合は、空室のときに駆除作業をすることで効果が高まります。
侵入経路になりそうな器具取り付け部分なども点検をして、隈なく侵入経路を探しましょう。
退去のタイミングでクリーニングをする
虫の発生の有無にかかわらず、念入りにクリーニングをおこなうことをおすすめします。
給水管・排水管も虫の通り道になります。
退去後のクリーニングを徹底し、見えない部分の洗浄もしっかりとおこない、シーリングの補修も施すと、害虫対策にとても効果があります。
換気口も必ず1度外して確認し、虫が侵入した痕跡がないか確認しましょう。
退去のタイミングで専門業者に依頼する
退去前に虫の発生が確認されていた部屋は、虫の巣が室内にある可能性があるので、専門業者に依頼して発生源を除去してもらうのもおすすめです。
先述したように空室状態の方が対策や処置をスムーズにおこなうことができ、効果も大きいです。
もちろん、入居後のクレームにもつながりにくくなります。
部屋の広さや害虫の種類によっても異なるのですが、害虫駆除の費用は3万円前後が多いとされています。
害虫駆除は、特別な資格や免許が必要ないため、経験の浅い業者も存在します。
また、頻繁に多くの人が依頼するものではないため、相場価格がなく、業者によっては高額な請求をしてくるところもあるため、管理会社などに相談しながら慎重に依頼する業者を探しましょう。
まとめ
ある程度、特約を明記するなどで対策はできますが、害虫駆除に対しての負担区分や責任の所在を明確にすることは非常に困難です。
自然事象でもあるため、大家さんは快適な住環境を提供するために、できる限りにことをして対応しましょう。
このコラムがお役に立てば幸いです。
以上、建物修繕・メンテナンスのウィズライフ株式会社でした。
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