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所有している賃貸物件を事務所可にする手続きとその注意点
2022年03月04日
こんにちは、
大切な資産を守り、未来につなげる、建物修繕・メンテナンスのウィズライフがお届けします。
ファミリー向けのマンションを経営しているけど、退去される方が少しずつ増え、空室を埋めることも難しくなってきたと感じている大家さんが増えていると聞きます。
このような大家さんが増えている原因のひとつとして、時代とニーズの変化が考えられます。
現代社会のニーズや入居者の利便性を考えると、賃貸マンションは必ずしも住宅専用である必要はないかもしれません。
では、どういったニーズがあるのか?
事務所として使用したいというニーズがあるのです。
それに応えていくことで空室を埋めることにつながるのではないでしょうか。
今回は、実は少しそういうことを考えていたという大家さんのために、事務所可物件の特徴や、住宅専用から事務所可へ変更する際の注意点や手続き方法についてまとめていきたいと思います。
少しでも事務所可への変更を検討している方、絶対に参考になることが見つかると思いますので、最後まで目を通してみてくださいね。」
【目次】
●マンションの事務所利用のニーズとは
●事務所可とは
┗○事務所可にしたときの家賃設定とは
┗○事務所可にする際の注意点とは
┗○事務所可にした場合の税負担
●事務所兼住宅(SOHO)とは
●事務所可と事務所兼住居(SOHO)との契約の違いとは
┗○事務所可の契約
┗○事務所兼住居(SOHO)の契約
●住居専用から事業用に登記を変更する方法
┗○手続き方法
●まとめ
マンションの事務所利用のニーズとは
少子高齢化という問題解決に向けて、国では年齢・性別を問わず誰もが活躍できる「一億総活躍社会」というものへの取り組みが進められています。
この「一億総活躍社会」をわかりやすく説明しますと、少子高齢化に歯止めをかけ、50年後の人口1億人を維持し、家庭・職場・地域で誰もが活躍できる社会を目指すというものです。
そこで求められるのが、フレックス制やリモートワーク、フリーランスといった働き方の多様化といわれています。
なかでも、近年フリーランスで働く方が増加傾向にあるので、今後、小規模な事務所向けのオフィス需要はますます高まることが考えられます。
そのため、マンションの事務所利用が期待されるのです。
オフィスビルを借りるよりも安く、落ち着いて仕事ができる空間は、個人経営の会社やフリーランスの方にとって最適な環境なのです。
事務所可とは
事務所可といった言葉がチラホラと登場していると思います。
事務所可物件とは、言葉で想像できるとおり、個人事業主や小規模な法人がオフィスとして使用できる物件のことです。
物品販売店や飲食店などの店舗は含まれないので、注意してください。
では、住宅専用の物件から事務所可物件に変更したら、何か変わることがあるのでしょうか。
事務所可にしたときの家賃設定とは
マンションの事務所利用は、住宅専用で利用するよりも第三者の出入りが不規則になるため、防犯上の不安や入居者トラブルのリスクに備える必要があります。
借主が事業主である、防犯上の不安や入居者トラブルがあるリスクを見越して、家賃を高めに設置することをおすすめします。
それでも、オフィスビルよりも安く借りることができるので、借主にとっては大きなメリットがあります。
また、退去時の原状回復費用については、住宅専用の場合、一般的に通常使用における損耗については貸主が負担します。
しかし、事務所の場合、床や壁の張り替え、パーテーションや間仕切りの撤去、配線・設備機器の撤去などは、一般的にすべて借主の負担で原状回復します。
そのため、住宅専用よりも敷金が高めに設定されることが多いです。
事務所専用として貸す場合、それがマンションでも基本的に原状回復費用は、すべてを借主の負担とすることができます。
事務所可にする際の注意点とは
住宅専用のマンションは、建物の種類が「共同住宅」で登記されているものです。
それを事務所として賃貸するためには、まず建物登記を「事務所」に変更しなければなりません。
また、事務所可物件に変更する際は、既存の入居者への配慮がもっとも大切になります。
セキュリティの観点からも、不特定多数の人の出入りがある業種の受け入れは極力さけるようにしましょう。
不特定多数の出入りがない場合でも、防犯上のリスクを少しでも抑えるために、入居付けしにくい1階だけを事務所可にするなど、対策をするようにしてくださいね。
そして、事務所可物件に変更するときに、とくに注意すべきなのが税制面です。
事務所可にした場合の税負担
居住用物件の場合は、固定資産税と都市計画税で住宅用地の特例を受けることができます。
具体的には、1戸あたり200平米以下の部分の税額が固定資産税1/6、都市計画税1/3に減額されます。
200平米を超える部分については固定資産税1/3、都市計画税2/3に減額されます。
しかし、用途が事務所になるとこの住宅用地の特例を受けることができなくなり、税額が上がります。
また、住居を貸し付ける際の家賃や敷金、礼金、保証金、更新料などは、すべて非課税ですが、事務所として貸し付ける場合は、退去時に入居者へ返還されない家賃、礼金、更新料は消費税の課税対象となります。
事務所兼住宅(SOHO)とは
事務所兼住宅のことを「SOHO」と呼び、これは「small office/home office」を略した用語です。
SOHOは、ITを活用して自宅や小規模なオフィスで仕事をするワークスタイルをいいます。
企業と業務委託契約を結ぶなど、個人的に受注をして仕事をするという点が、会社に雇用されながら在宅で勤務するテレワークとは異なります。
最近は、コワーキングスペースやシェアオフィスを利用するフリーランスの方も増えていますが、落ち着いて仕事ができる環境であり、プライバシーを重視する方には、自宅オフィスが最適です。
SOHOの入居審査でもっとも重視すべきは業種になります。
事務所兼住居として利用を許可する場合、第一に守るべきは入居者の生活上の安心です。
信頼できる業種か、公序良俗に反していないかという点など、チェックを怠らないようにしましょう。
事務所可と事務所兼住居(SOHO)との契約の違いとは
事務所可の契約
事務所可物件は、居住用ではなく事業用として賃貸契約を結ぶことになります。
借主が法人として登記する分は、何も問題はありません。
小規模な法人や士業の事務所、資料やサンプル、機材が多く広い場所を必要とする業種が利用することが多いです。
寝泊りはしない、業務以外に使用しないなど、節度を守って利用してもらうため、使用範囲や最低限のマナーについて管理規約で定めておくことをおすすめします。
他に、事務所可物件は、住宅用の火災保険ではなく事務所や店舗向けの保険に入ることになるので、用途以外の使用が原因で、万が一火災や破損・汚損などの損害があった場合、補償が下りない可能性もあります。
また、事務所利用についてのルールは法的な強制力がないため、必要に応じて特約を結ぶ必要があります。
先述した原状回復費用の負担などを明記するようにしましょう。
また家賃や礼金、更新料が課税対象になるので、その点も踏まえた家賃設定をおすすめします。
事務所兼住居(SOHO)の契約
事務所兼住居可物件については、基本的に住居用と変わりはありません。
登記の用途を変更する必要もありません。
家賃に課税をされることもありません。
賃貸契約も居住用で何ら問題ありません。
入居者の法人登記を許可するか否かは大家さんの判断によるのですが、トラブルがないとも限らないので、あらかじめ登記は不可としておくことをおすすめします。
広いスペースを必要とせず、インターネット環境が整備されていれば仕事ができる、デザイナー、ライター、イラストレーターなどのクリエイティブな仕事や、プログラマーやエンジニアなどの職種にも需要が高いです。
注意すべき点は、住居としての範囲を超えての使用です。
打ち合わせなど頻繁に外部から来訪者があったり、ホームページや広告に住所を記載するなど大きく宣伝したりすることがあると、入居者トラブルやクレームにつながる可能性があります。
そのため、SOHO希望者には、「法人登記不可」「広告、宣伝に使用しない」「屋号表示は不可」など、禁止事項を定めた規約をつくり、ルールとして明確に示しましょう。
退去の際の原状回復費用も、特約で忘れずに定めるようにしましょう。
住居専用から事業用に登記を変更する方法
事務所可物件に変更するには、住居専用から事業用へ登記を変更しなければなりません。
その際の手続きなどについてまとめていきます。
手続き方法
ここからはマンションの用途変更の際の、変更登記の手続き方法を紹介していきます。
手順は…
1. 法務局で登記薄上の「建物の種類」を確認する
2. 必要に応じて、変更後の利用状況がわかる写真や書類を準備する
3. 申請に必要な書類を作成する
(登記申請書、所有者の住民票、所有権証明書、変更の状況がわかる書類)
4. 管轄の法務局へ申請書を提出する
申請書提出から、1~2週間程度で登記が完了します。
まとめ
フリーランスやSOHO、テレワークといったさまざまなワークスタイルが確立しつつある昨今。
そのニーズに合わせて所有物件を住宅専用から事務所可や事務所兼住居可物件に用途を変更することは空室対策としてかなり効果的だと思います。
防犯上や入居者間のトラブルなどの問題が発生する可能性もあります。
ただし、注意点を考慮して管理会社などと相談しながら、最適な方法を検討してみてはいかがでしょうか。
このコラムがお役に立てば幸いです。
以上、建物修繕・メンテナンスのウィズライフ株式会社でした。
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