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困る!マンションの共用部分に放置されている私物ってどうすればいいの?

2022年04月29日

こんにちは。
大切な資産を守り、未来につなげる、建物修繕・メンテナンスのウィズライフがお届けします。

所有しているマンションの共用部分に私物が放置されているのを発見したり、クレームを聞いた経験があるオーナーもいらっしゃると思います。

とにかく他の入居者にも迷惑で、困ってしまいますよね。
マンション全体の住環境を健全に維持するためにも、オーナーは早急に撤去しなければなりません。

ただし、オーナー自身が入居者の私物を撤去・処分してもいいのでしょうか。
法律上の責任を問われる可能性があるのでは?と考えると思います。

この記事では、マンション共用部分に入居者の私物が放置されていた場合に、トラブルにならずに対処する方法を紹介していきたいと思います。

【目次】
●共用部分の私物に関する法律上の取り扱い
┗○共用部分に私物を放置することは管理規約違反
┗○私物を撤去する場合
┗○撤去した私物を処分する場合
●共用部分に私物が放置されていた場合の対処手順
┗○張り紙などで警告する
┗○私物を撤去して引き取り方法を伝える
┗○処分したうえで処分費用を請求する
●共用部分に私物を放置させないために
┗○私物放置禁止の掲示をしておく
┗○私物放置禁止の案内書を投函する
┗○私物の処分事例についてアナウンスする
┗○定期的な見回り
●まとめ

共用部分の私物に関する法律上の取り扱い

共用部分に放置された私物は、オーナーにとって対処に困るものです。

入居者自身が私物を撤去してくれれば何も問題はないのですが、放置となると他の入居者のためにも、オーナー自身で何らかの対処をしなければなりません。

その場合、注意しなければならないのが、法律上どこまでの行為が認められているのかを正しく理解することです。
そうでないと、入居者からオーナー自身の法的責任を問われかねません。

共用部分に私物を放置することは管理規約違反

まずは、一般的に共用部分に私物を放置するのは、管理規約違反に該当します。

共用部分は、すべての入居者のためのスペースなので、その方法は管理規約で定めることになっています。

特定の入居者の私物を共用部分に置いておく行為は、他の入居者の迷惑になるので、一般的には管理規約で禁止されています。

なお、たとえばマンションの廊下も共用部分にあたるので、たまに見られる居室のドア前の廊下に傘立てなどを設置することも、基本的には管理規約違反になります。

ただし、入居者の多くに便利で、他の入居者に迷惑にならない範囲のことなら、例外的に共用部分に私物を置くことができることもあります。

私物を撤去する場合

共用部分に放置された私物について、オーナー側が場所を移動(撤去)することは、基本的に問題ありません。

なぜなら、共用部分に私物を放置することは、他の入居者の迷惑になりますので、マンションの管理上必要な対処として考えられるからです。

ただし、移動の際にその私物を壊してしまった場合、私物の所有者からオーナー側に責任を問われてしまう可能性があるので、注意しなければなりません。

放置されているものが大きい、壊れやすいといった場合は、所有者に撤去してもらうよう促すほうが無難です。

また、所有者が私物を引き取りに来たときにスムーズに渡せるように、引き取り方を周知しておくことも大切です。

撤去した私物を処分する場合

撤去した私物を、いつまでも保管しておくわけにもいかないので、どこかのタイミングで処分をしなければなりません。

しかし、共用部分に放置されているからといって、他人の所有物を許可なく処分することは違法であり、所有者から損害賠償請求をされるかもしれません。

ここで、重要になってくるのが、「所有権の放棄」です。

放置された私物の所有権が放棄されれば、何も問題なくオーナーが処分できることになります。

また、所有権が放棄されていないとしても、オーナー側で所有権が放棄されたと判断する合理的な状況であれば、私物をオーナー側が処分をしても違法性が認められず、不法行為責任を免れることができます。

たとえば、十分な期間を設定したうえで引き取りを促し、その期間に引き取りの申し出が無かった場合、所有権を放棄したものとして処分する旨のアナウンスをおこなうといった状況です。

そうすれば、引き取り期間を過ぎたあとに、所有者が私物の処分に異議をとなえたとしても、オーナーの私物処分に関する責任が否定される可能性が高いです。

共用部分に私物が放置されていた場合の対処手順

ここからは、マンションの共用部分に私物が放置されていた場合、オーナーがとるべき対処の手順を紹介していきます。

張り紙などで警告する

所有者が自ら私物を撤去してくれるのが、もっとも平和な形のトラブル解決です。
そのため、まずは期間を設定して、私物を撤去するよう張り紙で警告しましょう。

警告する期間は、基本的に1週間程度確保すれば十分とされています。

張り紙には、期間を過ぎた場合はオーナー側で撤去する旨を合わせて記載しておくと、その後の対応をスムーズに進めることができます。

放置されている私物が大型の家電や家具の場合、オーナー側で保管しておくことが難しいので、業者に撤去・処分を一括で依頼するという方法もあります。

その場合、張り紙での警告期間を2週間から4週間程度と長めに設置し、期間が経過してすぐに処分に移行できるように準備しておくことをおすすめします。

私物を撤去して引き取り方法を伝える

張り紙で警告しても所有者が私物を任意に撤去しないなら、オーナー側で撤去して保管するようにしてください。

そのときに、私物が放置してあった場所に、引き取り方法や引き取り期間に関するアナウンスを掲示しておきましょう。

引き取り期間は、期間経過後の処分を正当化するために、2週間から4週間程度とある程度長めに設定しておくことをおすすめします。

処分したうえで処分費用を請求する

所有者に向けてアナウンスした私物の撤去・引き取り期間が過ぎた場合、オーナー側でその私物を処分しましょう。

私物が粗大ごみや家電リサイクル法の対象家電などである場合は、処分に費用がかかります。

子の費用は私物所有者に請求できますが、督促にかかる時間的コストなども考慮したうえで対応を決めるようにしましょう。

共用部分に私物を放置させないために

共用部分に私物を放置されると、他の入居者に迷惑がかかるだけでなく、オーナーにもさまざまなコストがかかるため、できるならば未然に防ぎたいものです。

ここからは、未然に防ぐための対策を紹介していきます。

私物放置禁止の掲示をしておく

基本的な対策ですが、マンションの掲示板などに私物放置禁止の掲示をしておきましょう。

「私物を放置してはいけない理由」「私物を放置するとどうなるのか」「私物を撤去すべき期間」といった点を掲示の中で明記するようにしてください。

私物放置禁止の案内書を投函する

掲示をするだけでは、伝わらないかもしれないので、各居室のポストに、私物放置禁止を明記した案内書を投函しましょう。

私物の処分事例についてアナウンスする

実際に共用部分に放置された私物を処分する場合、その経緯を入居者に向けてアナウンスすることも私物放置への抑止力になります。

放置された私物は実際に処分されるという現実を公表することで、入居者は「明日は我が身」と感じて、私物放置が減る可能性があります。

定期的な見回り

オーナーが自ら定期的に見回り、共用部分に放置されている私物を発見したら、その場で撤去するよう注意します。

迅速な私物の撤去にもなるだけでなく、「厳しいオーナー」という印象を与えることで、私物放置禁止を守るようになります。

まとめ

共用部分に放置された私物は、オーナーや他の入居者にとって本当に煩わしいものだと思います。

だからといって、急いては事を仕損じるではないですが、正しい手順を踏まないと、所有者から法的責任を問われる可能性が十分にありますので、注意しましょう。

このコラムがお役に立てば幸いです。
以上、建物修繕・メンテナンスのウィズライフ株式会社でした。

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