必見!今、オーナーが知るべき!住居兼事務所という貸し方について

2022年05月13日

こんにちは。
大切な資産を守り、未来につなげる、建物修繕・メンテナンスのウィズライフがお届けします。

早速ですが、SOHO(Small Office Home Office)という言葉をご存知でしょうか?
このSOHOは「居住用の不動産を借りて、住みながら事務所としても使う」という働き方や仕事場のことです。

最近は、このSOHOという働き方が増えつつあるのですが、本来居住用と事務所用では用途が異なります。

さらには、税金や法律の扱いも違ってきます。

ということで今回は、居住用の投資用不動産に、住居兼事務所として活用したいという契約の申し込みがあった場合などの、実務上の注意点などを説明していきたいと思います。

お役に立つことが見つかると思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

【目次】
●消費税や固定資産税への影響
●建築基準法や消防法の規定、盲点である火災保険
●賃貸借契約上で注意すべきこと
●まとめ

消費税や固定資産税への影響

事務所として使用できる物件を住居として貸す場合、居住用の賃貸借契約書を使用して、賃料に消費税は発生しません。

反対に、同じ物件を事務所として貸す場合は、事業用の賃貸借契約書を用いなければならず、賃料には消費税が発生します。

「じゃあ、住居兼事務所で貸す場合、消費税はどうなるの?」という疑問が生まれると思います。

この疑問を考える際に比較したいのが、住居部分と事務所部分がしっかりと分かれており、それぞれ独立して利用できる事務所併用の住宅です。

「兼用」とは、1つの区画を住居と事務所の2つの用途で使用することです。
「併用」は、住居と事務所が完全にわかれているイメージと考えてください。

この住居と事務所が併用している住宅の場合、独立した事務所として使用されている部分には賃料に消費税が発生します。

しかし、「住居として主に使われており、事務所も兼ねている住居兼事務所」であれば、基本的に住居扱いとなり、賃料に消費税は発生しません。

賃借人側も同じで、事務所として使用している割合の家賃を課税仕入れにできないことになります。

土地の固定資産税や都市計画税も、居住用の建物の敷地として利用している場合は、「住宅用地の特例措置」で税負担が軽減されます。
ここでも住居兼事務所で貸すとなると、一体どうなるのか?という疑問がでてきます。

「住宅用地の特例措置」は、一棟のアパートやマンションに住居として使われている区画と事務所として使われている区画が混ざっている場合、事務所として使われている区画が一定以上になると、軽減される土地の免責が減ります。

しかし、「おもに住居として使用しつつ、事務所を兼ねている住居兼事務所」であれば住宅としての実体があるとなり、土地の面積は住宅用地として軽減の対象となります。

建築基準法や消防法の規定、盲点である火災保険

建築基準法・都市計画法には、建築物をその用途に応じて適切な場所に配置するためのルールがあります。

そのルールは、用途地域といいます。

用途地域では、第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住宅専用地域には、事務所は基本的に建てることはできず、居住用として建てられた建物を事務所として賃貸することもできないとされています。

しかし、「おもに住居として使用され、事務所も兼ねている住居兼事務所」として契約することは、面積の要件はあるものの基本的には問題ないとされています。

消防法では、用途により防火対象物が細かく分けられているため、必要な消防設備も違ってきます。

アパートやマンションは、共同住宅等という用途で新築時に消防検査を受けており、用途を勝手に変えることはできません。
ただし、住居兼事務所という用途はないため、「おもに住居として使用しつつ、事務所を兼ねている住居兼事務所」は住居といて扱われることになります。

オーナーが建物に掛ける火災保険は、居住用の建物と事業用の区画が1つでもある建物とで「住宅物件」「一般物件」に分けられます。

賃借人が火災保険に加入するとしても、住居として借りる場合と事務所として借りる場合で、保険の種類が異なります。

「おもに住居として使用しつつ、事務所を兼ねている住居兼事務所」は区画全体が「暮らしの場」として利用されているのであれば、住宅扱いとなります。
ただし、これは保険会社が判断することになるため、万一のときに保険金が下りない事態になってしまわないように、必ず確認するようにしましょう。

賃貸借契約上で注意すべきこと

住居兼事務所として使用したいと申し込みがあった場合、賃貸借契約上どのようなことに注意すべきなのでしょうか。

まずは、居住用の賃貸借契約書を使用し、「おもな用途が居住用である住居兼事務所」としての使用を認めるということを示さなければなりません。

さらに、居住用の建物としての利用を大きく逸脱するような行為をして、他の入居者に迷惑をかけたり、不信感を与えたりさせないための特約を付加するようにしましょう。

具体的な行為としては、不特定多数の来客、業務用の荷物の受発送が多い、倉庫利用と受け取られるくらいの量の荷物の保管、家庭ではありえない種類や量のゴミ出しなどです。

これらの特約を設定しておくことで、可能な仕事内容が限られてきます。

また、税金が高くなる、法律違反、火災保険金が出ないなどオーナーが困らないために、使用方法だけでなく、外から見ても住まいとしての体裁を保ち、誤解が生まれないようにすることが大切になります。

対策としては、看板の掲示、ポストや表札に会社名や屋号を単独で表示しないようしてもらいましょう。
仕事用の郵便は、郵便局に会社名や屋号を届け出ると配達されますので、対応してもらいましょう。

まとめ

「住まいを事務所にもしたい」という働き方は今後も増えるといわれています。
これを上手く取り入れられると、大きな空室対策にもなります。

ただし、気軽におこなうと気付かないうちにルール違反をしてしまうおそれがあり、オーナーが困ってしまうことになります。

事前にしっかりと知識をつけて、安全に賃貸経営をおこなうようにしてくださいね。

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