台風や大雨などの自然災害にみまわれた所有物件はどうなるの?

2021年06月11日

こんにちは。
大切な資産を守り、未来につなげる、建物修繕・メンテナンスのウィズライフがお届けします。

近年、毎年のように夏から秋にかけて大雨や超大型の台風など異常気象による被害が続いている日本。
各地に浸水被害を発生させており、誰もが被害に遭うおそれがあるため不安で仕方がありませんよね。

集合住宅がかかわったものとして、台風による被害で浸水したマンションの1階に住む男性が亡くなったという事件もありました。
被害が浸水だけで終わらない場合もあり、浸水によって長期にわたる停電を引き起こす可能性もあるのです。

そんなニュースを見聞きしていると「所有している物件が自然災害などによって浸水したらどうなるんだろう」と不安に思われたオーナーさんも多くいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、台風や大雨による洪水などで、物件が浸水被害に遭ってしまった場合にどうなるのか?を、法的な責任面においての基本を大切な心構えとして整理していきたいと思います。

ここで想定するケースとしては…

・台風等による大雨で、川あるいは下水などが溢れた
・賃貸アパート、マンションの1階部分の各部屋が床上浸水
・入居者の家財などにも被害が及んでいる
・復旧まで入居者には一時的に退去してもらうことになった

なお
・オーナー側の普段の物件管理に、被害を誘発、拡大させるような落ち度は何もなかった
を付け加えることにします。

このようなケースに場合に起こりうる事象の法的な責任面を一緒に見ていきましょう。

建設と設備の修繕や復旧義務はオーナーにある

床上浸水が発生してしまった部屋に、入居者がそのまま暮らすことは当然不可能です。
日常生活を送れるように修繕や清掃、消毒、設備の修理など、復旧作業をおこなわなければいけません。
これら復旧までの費用は、もちろん物件の所有者であるオーナーが負担しなければなりません。
民法606条1項に「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と定められています。
賃料と引き換えに部屋を貸すオーナーは、「一般的な日常生活を送れる」状態を入居者に提供しなければいけない義務があります。

家賃はどうなるのか?

被害にあった物件を元通りにして、普通に暮らせるようになるまで入居者が一時的に退去しなければならない場合、その間の家賃を入居者に請求することはできません。
なぜなら、オーナーは賃料と引き換えに「賃貸物の使用及び収益」を入居者に提供すべきなのですが、それが不可能な状態だからです。
民法の611条1項の「賃貸物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる」が間接的ですが根拠となります。

立ち退いている間のホテル代を請求されたら?

立ち退きを余儀なくされた入居者が「立ち退いている間はホテル生活になるので、復旧までの間の宿泊代をオーナーさんが負担してください」と請求された場合、支払う必要はありません。
立ち退かなければいけなくなった原因は、あくまで自然災害なのでオーナーに責任はありません。
そのため支払いの義務はないということになります。

入居者の家財の補償はどうなる?

部屋が浸水したことにより入居者の家財にも被害が生じてしまったとしても、オーナーは補償をしなくてもいいです。
入居者の家財はあくまで入居者の所有物なので、自身に管理責任があります。
補償は、入居者が加入している賃貸入居者用の保険(家財・火災保険など)にゆだねられることになります。

いかがでしたでしょうか。
賃貸借契約の対象となっている建物や設備などの責任の所在はオーナーにあり、入居者の私物としての家財などの責任は、入居者にあるということが基本になります。

これにもとづく形で、入居者は家財への補償が含まれている賃貸入居者用の保険、オーナーはオーナー用の火災保険や損害保険に加入することが現在は基本となっています。

ただし、注意しなければならないのは、オーナーの普段の管理が悪く落ち度があった場合は、家財やケガなどに対する補償をオーナー側がしなければならない可能性があります。

入居者から雨漏りの指摘を散々されていたのにも関わらず、早急に対応せず放置しているうちに台風におそわれ、それにより入居者の家財に損害を与えてしまったような場合は、オーナー側の責任になる可能性が高いです。

自然災害による被害を修繕せずに、そのまま賃貸経営を終えたい場合は?

建築されてから長い年月が経過している物件が被害に遭った場合、そのまま賃貸経営を終了するという判断は大いにあります。
しかし、オーナーは「賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う(民法606条)」とあること、尚且つ、借地借家法の規定により入居者が物件に住み続けたいという意思がある場合、正当事由が認められない以上は拒否できないことから、簡単に経営を終えることができない可能性があります。

出費が痛いからという理由では、簡単に入居者の家を奪うことは難しいのです。

このコラムがお役に立てば幸いです。
以上、建物修繕・メンテナンスのウィズライフ株式会社でした。

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