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全館禁煙にしてしまう?賃貸住宅におけるベランダ喫煙のトラブル解消法を解説!
2023年02月28日
こんにちは。
大切な資産を守り、未来につなげる、建物修繕・メンテナンスのウィズライフがお届けします。
ベランダ喫煙などのたばこや電子たばこに関わるトラブルでお困りのオーナー様に向けて、トラブルの防止方法・クレームへの対応方法を解説していきます。
【目次】
●ベランダ喫煙でのトラブルは増加している
●賃貸住宅でのベランダ喫煙は禁止可能?
●全館禁煙にするメリット・デメリット
●ベランダ喫煙のクレーム発生時には
●まとめ
ベランダ喫煙でのトラブルは増加している
喫煙者の割合が減少し、多くの人が集まる施設や都市の中心部では禁煙とする自治体も増えており、全国的にも喫煙マナーの徹底が進んでいます。受動喫煙が及ぼす被害は住宅でも同様で、集合住宅では近隣住人とのトラブルにもなり、裁判に発展するケースもあります。
日本国民の喫煙率は減少しており令和元年の調査によると、男性全年齢で30%を切り、女性全年齢では10%を切っています。
喫煙者の減少に伴い喫煙マナーに対する意識は高まり、喫煙マナーは「喫煙ルール」に変更され、代表的な喫煙マナーの問題として「ベランダ喫煙」についての注意を呼び掛けています。
在宅勤務の増加に伴いベランダ喫煙が問題に
コロナ禍により生まれた「新しい生活様式」は、住環境にも大きな影響を与えました。コロナ禍による在宅勤務の増加に伴い、ベランダ喫煙に関するクレームなどが増えています。
東京都が実施したアンケート調査によると、2020年4月にはテレワーク実施率が62.7%となっており、緊急事態宣言を発令した2021年1月からは、最低でも56.6%であり8月には65.0%となり、比例するようにベランダ喫煙も増加していたことが想像できます。
ベランダでの喫煙は違法?
喫煙に関するルールを定め、場所によっては禁煙とする法令は、各地方自治体が条例を制定するケースもあります。例として東京都受動喫煙防止条例をみてみましょう。
条例の対象となるのは「教育施設や児童福祉施設」「病院・診療所」「行政機関の庁舎」「バス・タクシー・航空機」と、これ以外の2人以上が利用する施設(事務所・工場・ホテル・飲食店など)であり、ベランダ喫煙が行われている集合住宅は対象外です。
分譲マンションでは管理規約でベランダでの喫煙をNGとするケースもあるようですが、法律上禁止することは難しい状況です。それに対し賃貸マンションは住戸の所有権はオーナーさんにあり、入居者は法律上「賃借人」の立場となり、分譲マンションより強い規制を設けることが可能です。
賃貸住宅でのベランダ喫煙は禁止可能?
賃貸マンションにおける受動喫煙防止について考えてみましょう。とくにベランダでの喫煙はトラブルの原因として増加しており、大家さんや管理会社にとって重要なテーマとなっております。
ベランダは共用部を専用で使用している
ベランダは賃借人が専用で使用できる住戸に附属するものですが、分譲マンションの場合は専用使用権のある共用部分となります。賃貸マンションの場合も、使用権については同様になるので、ベランダの使用方は入居者に委ねられています。
しかし、ベランダの所有権は大家さんにあり、入居者は善管注意義務に基づいた使用方法が求められます。さらに集合住宅ではほかの住人たちへの迷惑行為を、賃貸借契約上で禁止していることが多く、受動喫煙も状況により迷惑行為に該当する場合があります。
ベランダ喫煙は過去に受動喫煙の被害者である原告が勝訴し、慰謝料請求を認められた判例も。この判例では被害者が喫煙者に対し再三注意をしたが、喫煙をやめることをせず精神的損害を認めたものであり、すべてのケースにおいて喫煙が不法行為になるものではありません。
ベランダ喫煙によるトラブルを避ける方法
ベランダ喫煙について明確に禁止事項として賃貸借契約書に記載すると、どこまでが迷惑行為でありどこまでは許されることかといった、あいまいな判断をすることがなくなります。ただし禁止行為を無視してマナーを守らないケースも考えられ、管理会社への通報を促すなど入居時や定期的なアナウンスが欠かせません。
また注意しなければならないのは、たばこの煙はベランダ喫煙だけが原因ではなく、換気扇の排気口から屋外に流出した煙が、上階の住戸の給気口から室内に入る事でトラブルになるケースも。室内での喫煙について規定を設けるとするならば、全館禁煙にしてしまうという方法もあります。
全館禁煙にするメリット・デメリット
最近は禁煙施設が増加しており前述したように、受動喫煙防止条例を制定している地方自治体も増加しています。このような動きは集合住宅にも広がっており、賃貸マンションでは住戸内禁煙や敷地内の全館禁煙を実施している事例もあります。全館を対象に禁煙とした場合、ルールが明確になりトラブルを防止する効果が見込めそうですが、デメリットも発生します。
全館禁煙にするメリット
・喫煙者の入居がなくなり、たばこの煙によるトラブルがなくなる
・室内の汚れの原因が1つ減るので原状回復費用をおさえることができる
・失火の原因が1つ減り、火災事故リスクを減らすことができる
全館禁煙にするデメリット
・入居対象者が減り、満室経営が難しくなる可能性がある
しかし全館禁煙のマンションはまだ少なく、禁煙物件を求める需要が相対的に多く、禁煙による入居者の減少は大きくないと考えられます。また禁煙物件が増えていくことで禁煙がスタンダードになり、禁煙だからといって経営上不利になることも考えにくくなっていくと思われます。
・加熱式たばこについて
禁煙に関する議論で必ずといってよいほどテーマにあがるのが「加熱式たばこ」です。加熱式たばこはタバコの葉や加工品を加熱することによりニコチンを発生させます。通常の紙たばこよりも煙が少なく健康に対する害が少なく感じますが、実際にどれくらい健康上の影響が軽いのかは明らかではありません。
改正健康増進法では禁煙施設内での喫煙は禁止されており、全館禁煙とした場合には、紙巻たばこと同様に「加熱式たばこ」も禁止とすることが望ましいと言われています。
ベランダ喫煙のクレーム発生時には
ベランダでの喫煙が原因となるトラブルやクレームが発生した場合、大家さんはどのような対応をすべきでしょう。大家さんみずから対応するケースと、管理会社にまかせてしまうケースについての注意点を紹介します。
段階を踏んでオーナーさんみずからが対応
1.掲示やチラシなどを用いて周知する
入居者から敷地内での喫煙に関するクレームがあった際に、はじめに行うべきことはすべての入居者への周知です。方法としては共用部に文書の掲示が可能であれば喫煙マナーに関する文書を掲示し、各戸にもマナーを遵守するよう記載した注意文書を配布します。
喫煙していた人物がそれを見ない可能性を考え、文書の掲示や配布後、最初にクレームを告げてきた入居者に連絡し改善されているかどうかの確認を行います。その後もマナー違反が続いているようであれば文書による注意喚起を数回繰り返し行います。
2.対象者への直接交渉を行う
何度かの文書による注意喚起でも効果が見られない場合は、クレームの原因となったであろう入居者に直接会って注意を促します。該当する喫煙者であると確定できる場合と、疑わしいが確定できない場合がありますので、最初は相手を決めつけずにベランダでの喫煙について確認することが重要です。該当する喫煙者と確定できた場合は、迷惑と感じている入居者がいることを伝えたうえで文書による注意喚起とマナーの遵守を申し入れます。
3.強い警告を行う
直接会って注意しても改善が見られない場合、文書による改善申し入れを再度行います。民事訴訟を念頭に、配達証明付きの「内容証明郵便」での警告も検討します。ただし民事訴訟は被害を被っている入居者本人からの訴えでなければ意味がありません。なのでクレームを最初に告げた入居者の意思を確認することも重要です。被害を受けている入居者とも連携し、喫煙のマナー違反を繰り返す入居者に対応するようにしましょう。
こうしたクレームをオーナーさんが放置するのは問題となります。建物を所有するオーナーさんの立場としては、入居者が快適な生活を送る権利を奪われている状況を放置していては、大家さんの義務を果たしていないことになります。このことは大家さんの債務不履行として、民事訴訟をおこされる可能性もあることに注意しなければなりません。
管理会社にまかせる
前述した『段階を踏んで対応する』で述べた対処方法は、管理会社が対応する場合も基本的に同じように行うことになります。喫煙トラブルの原因となる入居者にとって、大家さんからの注意か管理会社からの注意、どちらに効果が見込めるかを考える必要があります。
以下のような場合には、大家さんがみずから対応するよりも管理会社にまかせるほうが効果的です。
1.大家さんが女性であったり高齢者である場合
2.本業などで対応する時間がとれない場合
3.交渉や説得などが苦手な場合
4.物件が自宅から遠い場合
管理会社が対応する場合、大家さんが直接対応する場合と比較すると、感情的にならず冷静な対応が可能です。そのためマナー違反の入居者にとっては受け入れやすく、感情的な反発を回避することが可能です。注意喚起を促す文書などもビジネス文書的な印象があり、論理的な訴えは倫理観を醸成させる効果を期待できます。さらに「内容証明郵便」を送付することになった場合にも、大家さん個人が出すよりも受け取りやすい面があり、トラブル解決への期待が持てると考えられます。
まとめ
コロナ禍の感染防止対策として実施された「新しい生活様式」は、ベランダでの喫煙によるトラブルの増加という反作用を生んでしまいました。喫煙率は継続的に低下しており、少しずつ改善にむかうと思われますが、賃貸経営者にとっては悩みの種です。賃貸住宅は公共施設などと異なり法律による規制が難しく、賃貸借契約において使用規則に盛り込むなどルール化を図り、入居者の意識づけを促す方法をとらざるを得ません。
万一トラブルに発展してしまった場合には、冷静に対応し入居者間における軋轢を解消するよう努めなければなりませんが、大家さんひとりで悩まず管理会社に相談することが最善です。
このコラムがお役に立てば幸いです。
以上、建物修繕・メンテナンスのウィズライフが株式会社でした。
賃貸物件の修繕・メンテナンス・リフォームなど、多様なニーズにお応えできる様に、しつこい汚れをきれいにしたり、雨漏りを修理したりするなど、価値のある建物へ導くご提案をさせていただきます。
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